建設業経理士の勉強をしてるけど、未成工事支出金とは何?仕訳とか消費税とかなんだかわからない。わかりやすく説明してほしい!
簿記など会計の勉強をしていても、建設業の用語は独特で分かりづらいですよね。
未成工事支出金も、そんな独特の用語の内のひとつです。
今回は建設業における勘定科目の未成工事支出金とは何か、仕訳や消費税なども含めて取扱や計算方法をわかりやすく解説します。
建設業経理士は給料アップや転職に役立つ資格です。この記事で紹介している未成工事支出金は、建設業経理士の試験に必ず出るといっても良いほどの問題ですし、それ以外にも建設業の特殊な会計をしっかりと勉強する必要があります。勉強方法に関しては「建設業経理士は2級以上で就職転職に有利!手順を踏めば難易度も低め 」という記事で紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
勘定科目の未成工事支出金とは。わかりやすく解説
未成工事支出金をわかりやすく言うと、未だ完成していない工事のうち支出している分の金額ということです。
まだ完成していない、工事中の建物にかかっている費用は、将来売上として計上されることがわかっているものです。
従って、これらは会計上未来の資産になると考えられるので、未成工事支出金として資産計上されるのです。
未成工事支出金は日商簿記で言うところの「仕掛品」
未成工事支出金は日商簿記で言うところの「仕掛品」になります。
仕掛品は製造している段階の製品のことを言うので、「しかかっている」という言葉が使われるのですね。
工事中の建物も同じような考え方ができるので、仕掛品と同じと考えることができるのです。
未成工事支出金は「棚卸資産」
未成工事支出金は棚卸資産として計上します。
基本的には資産として計上される「在庫」を指すと考えればいいでしょう。
従業員の給料も、建物を建てるための材料費も、工事にかかったすべての金額は売上げが出るまでの「在庫」となります。
未成工事支出金と未成工事受入金との違いは
未成工事受入金とは、未だ完成していない工事を受入ているとみなしている金額のことです。
未成工事受入金は日商簿記で言うところの「前受金」になります。
未成工事未払金とは逆の意味となり、完成していない発注先の工事に対して、引き渡しより先に請負代金の一部の一部を受け取った場合に処理されます。
未成工事支出金と工事未払金との違いとは
未成工事受入金とは発注した工事に対して未だ払っていない金額のことです。
工事未払金は日商簿記で言うところの「買掛金」になります。
未成工事受入金が既に受け取っている金額であるのに対して、工事未払金とは将来支払う予定なものの未だ支払っていない金額を指します。
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未成工事支出金の仕訳
未成工事支出金を仕訳する場合の例を、以下に示します。
- 材料費25万円を現金で支払い、請負代金25万円の外注費の請求書が届いた時点で、工事未完成の場合。
借方 | 貸方 |
未成工事支出金 500,000 円 | 現金 250,000円 |
工事未払金 250,000円 |
- 上記の工事が完成したため、経費を計上。
借方 | 貸方 |
材料費 250,000円 | 未成工事支出金 500,000 円 |
工事未払金 250,000円 |
上記のように、工事が未完成の場合は材料費・外注費問わず未成工事支出金として仕訳されます。
そして工事が完成した後に、未成工事支出金として工事にかかった費用が借方に振り替えられるのです。
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未成工事支出金の消費税の取扱い
未成工事支出金の消費税の取扱いは、国税庁HP「未成工事支出金の仕入税額控除の時期」にて説明されています。
未成工事支出金となる外注費や材料費ににかかる消費税については、原則として役務の提供や材料の引渡しがあった時点で課税仕入れ等を計上します。
ただし完成引渡日に一括して課税仕入れ等の計上を適用する場合は、例外として上記によらないことができます。
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未成工事支出金の計算方法
ここでは建設業経理士2級の過去問(平成30年9月実施分)を例に、未成工事支出金の計算方法をご紹介します。
借方と貸方に分けて考えれば、比較的楽に解ける問題です。
- 期中に材料がどれだけ使用されたかを計算する
借方 貸方 期首残高 28,000 当期の材料仕入高 473,000
当期の材料使用高 449,000 期末残高 52,000
合計 501,000 合計 501,000 - 未成工事支出金に含まれている材料費を計算する
借方 貸方 期首残高 52,000 当期の材料使用高 449,000
未成工事支出金 419,000 期末残高 82,000
合計 501,000 合計 501,000
- 期中に材料がどれだけ使用されたかを計算する
以上より、回答は¥419,000となります。
まず最初に、期中で材料がどれだけ工事に使われたかを考えましょう。
材料の期首残高が¥28,000、期末残高が¥52,000、期中に¥473,000が増加しているので、そこから工事に使われた材料は¥449,000であることがわかります。
次に、未成工事支出金に含まれている材料費を計算します。
未成工事支出金に含まれている材料費の期首残高は¥52,000、期末残高が¥82,000、期中に使われた材料使用高は先ほど計算した通り¥449,000です。
ここから計算すると、未成工事支出金(当期の完成工事原価報告書における材料費)は¥419,000となります。
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未成工事支出金は企業の粉飾に絡んでいる?
未成工事支出金は建設会社の粉飾に絡む場合があるとされています。
というのは、未だ計上されていない売上を資産として計上できる未成工事支出金の性質上、実態がなくとも黒字決算にすることが可能となるからです。
経営状況をよくするためにごまかしている可能性もありますので、税務担当はしっかりとチェックすることが大切です。
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建設業経理士は給料アップや転職に役立つ資格!
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今回紹介した未成工事支出金は、建設業経理士の試験に必ず出るといっても良いほどの問題ですし、それ以外にも建設業の特殊な会計をしっかりと勉強する必要があります。
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未成工事支出金についてのまとめ
未成工事支出金をわかりやすく言うと、未だ完成していない工事のうち支出している分の金額ということです。
建設業会計では必ず知っておくべき用語ですので、仕事で携わる場合はしっかりと勉強しておきましょう。
会計を知ると、世の中のより多くのことがわかるようになります。
給料や転職のためでもありますが、より自分を高めるためにも建設業会計を勉強してみてはいかがでしょうか。