ネットワーク工程表とは。書き方や見方、試験問題などを紹介

「ネットワーク工程表とは?試験問題に出るけど、見方も書き方もわからない!」

今回は、そんな疑問にお答えします。

ネットワーク工程表について、実際にどういった場面で使われるのか、ネットワーク工程を書くメリット、ネットワーク工程表の書き方から試験問題まで解説します。

クリティカルパスやフリーフロート、ダミーといった専門用語も、わかりやすく解説しますね。

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ネットワーク工程表は施工管理技士の試験に頻出の問題です。私は1級土木施工管理技士に独学で合格しました。独学方法を知りたい方は、合わせて以下の記事もご覧ください。
関連:1級土木施工管理技士に1発合格した独学方法!実地試験も楽勝

ネットワーク工程表の見方はこちらで解説

ネットワーク工程表とは

ネットワーク工程表

参照元:平成25年度 2級建築施工管理技術検定試験 実地試験(http://www.ads3d.com/kense/kako/25-2/2ken25ji.html)より作成

ネットワーク工程表とは、主に建設現場で利用される工程を表したフローチャートです

建設現場では土木・建築に加え、電気屋配管などの設備工事など多種多様な専門系統が入り混じります。

そういった専門系統をまとめ上げ、それぞれの関連性を明確にし、作業日数など全体の工程を1つにまとめて見やすくしたものがネットワーク工程表なのです。

 ネットワーク工程表は実際どんな場面で使われるのか

ネットワーク工程表は、建設現場の施工管理の場面で使われます。

特に大規模なプロジェクト工事では絶大な力を発揮し、工程を短縮し、コストを削減することが可能になります

プロジェクト全体の流れを読むのに最適なフローチャートが、ネットワーク工程表なのです。

ネットワーク工程表を書くメリット5つ

大林組 年収

ここでは、ネットワーク工程表を書くメリットをご紹介します。

ネットワーク工程表を書くメリット5つ
  • 工事の全体をわかりやすく見れる
  • 各工事の関係性が把握しやすくなる
  • 各工事と全体の工期が予測しやすくなる
  • 工事の進み具合をしっかりと見れる
  • コスト削減や工期の短縮アイデアを出しやすい

以下で詳しく解説していきましょう。

工事の全体をわかりやすく見れる

ネットワーク工程表は、作業の工程全体を表すフローチャートのため、関係者全員が同じ認識で分かりやすく工程を把握できます

関係者で意思疎通ができず、施工管理だけが把握していても意味がありません。

打合せなどで全員に工事内容を共有するためにも、わかりやすいネットワーク工程表が必要となるのです。

各工事の関係性が把握しやすくなる

ネットワーク工程表を使うと、各工事の関係性が一目見て把握しやすくなります

建設現場は多種多様な専門工事が入り乱れます。

そういった中で、お互いの関係性を明確にし、順序を組み立てることで、手戻りのない工程を組むことができるのです。

各工事と全体の工期が予測しやすくなる

ネットワーク工程表を使うと、各工事の所要日数が予測しやすくなります。

それぞれの工事の所要日数を明確にすることで、全体の工期も予測できます

天候不良などで中止になっても、リカバリーのきく工程を組むことが可能です。

さらに工事の無駄も一目見てわかるので、工期短縮を図ることができます。

工事の進み具合を把握できる

ネットワーク工程表は工事着手後にも役立ち、工事全体の進み具合を把握できます

各工事で進捗が遅い工事などがあれば、工程を組みなおし、ボトルネックを解消することが可能です。

工事の進捗をコントロールすることは非常に大切で、工程管理にはなくてはならないものがネットワーク工程表なのです。

コスト削減や工期の短縮アイデアを出しやすい

ネットワーク工程表を使うと、コスト削減や工期の短縮アイデアを出しやすくなります

全体像を把握し、効率よく作業を進め、ボトルネックがあれば工程を組みなおして解消する。

こういったことをネットワーク工程表は可能にします。

短期間で工事を終わらせることにより、労働力や機械経費など多くのコストを削減できます。

ネットワーク工程表の書き方7手順

建設業界

ここでは、ネットワーク工程表の書き方を大まかに7手順、ご紹介します。

ネットワーク工程表の書き方7手順
  1. ネットワーク工程表に関する用語を知る
  2. ネットワーク工程表を書く時の記載方を知る
  3. ネットワーク工程表に必要な工事の内容を知る
  4. 工事ごとの関係性を考える
  5. 各工事に必要な日数を出し、日程を作る
  6. 工程の進捗を見ながら修正する
  7. 無駄のない配置を考えて工期を短縮させる

以下で詳しく解説していきましょう。

ネットワーク工程表に関する用語を知る

ネットワーク工程表に関する用語は、必ず知っておきましょう

書くときも見るときも打ち合わせの時も、用語を知っていなければ話になりませんので。

用語については、この記事の後半で解説しています。

ネットワーク工程表を書く時の表記方を知る

ネットワーク工程表の用語に加えて、書く時の表記方も知っておきましょう

例えば矢印の方向や種類、番号など、これらがわかって初めて書くことができます。

アルファベットや数字、分岐に関しても、しっかりと理解できるようにしておきましょう。

ネットワーク工程表に必要な専門工事を洗い出す

ネットワーク工程表に必要な専門工事を洗い出しましょう

全体の工事の中で、どういった工事が必要なのか、複数の専門業者を束ねてプロジェクトを完遂しなければなりません。

全て洗い出したうえで、初めてネットワーク工程表の作成が可能となるのです。

工事ごとの関係性を考える

専門工事を洗い出した後は、各工事ごとの関係性を考えましょう

たとえばA工事はB工事が終わった後でしか着手できないなど、ここをしっかりと考えなければ大きな手戻りが発生します。

ネットワーク工程表の前に、簡易的に矢印などを使ってフローチャートを書いてみるといいでしょう。

各工事に必要な日数を出し、日程を作る

各工事の関係性を考えた後は、各工事に必要な日数を出しましょう

日数を出すことで、全体の工程が見えてきます。

それらをつなぎ合わせることで、ネットワーク工程表の骨組みはほぼ完成したといってもいいでしょう。

効率化を考えて工期短縮・コスト削減する

一旦完成したネットワーク工程表を見て、さらに効率化を考えて工期短縮・コスト削減を図りましょう

これがネットワーク工程表を作るうえで大事なこととなります。

作業員や資器材の配置などをしっかりと組み立てて、考えるかぎり最も効率的な工程を組むのです。

工事の進捗を見ながら修正する

ネットワーク工程表を作り終えた後は、工事の進捗を見ながら修正していきましょう

設計の内容が変わったり、天候不良で工事が中止になってしまったら、工程がずれてしまいます。

それらにしっかりとフォローを入れ、工程を修正することが大切です。

ネットワーク工程表があれば、これらの修正が容易になります。

ネットワーク工程表は小規模の工事には向いていない

ネットワーク工程表は他の工程表に比べて複雑なので、作業の進捗状況を見て作り直すのに時間がかかります

何社もの専門業者と何百人もの作業員が必要な大規模工事をわかりやすくすることに力を発揮しますが、小規模の場合はネットワーク工程表を使わなくても十分対応できるとされています。

こういった面で、他の工程表と比べて向き不向きがあるので、しっかりと押さえておくようにしましょう。

施工管理技士試験で出る!ネットワーク工程表に関する問題

施工管理技士 勉強

ここでは、施工管理技士試験で出る、ネットワーク工程表に関する問題を解説します。

大きく、以下の3つを勉強すればOKです。

  • ネットワーク工程表と他の工程表との違い
  • ネットワーク工程表に関する用語の説明
  • ネットワーク工程表についての計算方法

ネットワーク工程表と他の工程表との違い

ネットワーク工程表と他の工程表の違いというよりかは、複数の種類の工程表の特徴をしっかりと覚えておくことが必要です。

覚えておくべき工程表は以下の通りです。

  • バーチャート工程表
  • ガントチャート工程表
  • グラフ式工程表
  • 工程管理曲線
  • ネットワーク工程表

ネットワーク工程表と他の工程表との違いを表した場合、以下の通りになります。

  • メリット:作業の手順や各工事の関連性、必要日数や進行度合い、クリティカルパス(全体工期に影響する重要な作業経路)が明確である
  • デメリット:他の工程表と比べて進捗状況が把握しづらい、チャートを修正しづらい

ネットワーク工程表に関する用語の説明

ネットワーク工程表に関する用語を、しっかりと説明できるようにしておきましょう。

ネットワーク工程表に関する用語は以下の通りです。

ネットワーク工程表に関する用語
  • アクティビティー: 矢印、〇と〇を繋いでそれぞれの作業を表す
  • イベント:〇印とその中の数字。結合点とも呼ばれ、作業同士を繋いで順序を示す
  • クリティカルパス:影響の大きい重要な作業経路
  • フロート:作業の余裕日数
  • フリーフロート:遅れた場合でも、次の作業に影響が出ない余裕の日数
  • トータルフロート:遅れた場合でも、全体の工期に影響が出ない余裕の日数
  • ダミー:所要日数がゼロで、作業順序を示す矢印
  • 最早開始時刻…最短で作業を開始できる日数(時刻=日数と考えてOK)
  • 最遅開始時刻…工期を間に合わせるために、必ず開始しておかなければならない日数
  • 最早終了時刻…最短で作業を終了できる日数
  • 最遅終了時刻…工期を間に合わせるために、必ず終了しておかなければならない日数

    これら用語を把握した上で、施工管理技士試験に臨みましょう。

    ネットワーク工程表についての計算方法

    ネットワーク工程表の計算方法

    ネットワーク工程表を必ず計算できるようにしておきましょう

    図の赤字は最早開始時刻、赤線はクリティカルパスを示していますが、「最も早くイベント(〇印)にたどり着く日数」をたどれば、クリティカルパスを引くことは可能です。

    慣れてしまえば非常に理解しやすく、ここから「工事が〇日遅れた場合の所要日数」や、「作業Mの最早終了時刻」、「作業Hのフリーフロート」などを求める問題が出ます。

    まずは数問解いてみてください、そうすれば比較的点の取りやすい問題ですよ。

     ネットワーク工程表についてのまとめ

    ネットワーク工程表は、主に建設現場で利用されるフローチャートで、多種多様な専門系統が入り混じった工事を視覚化して見やすくしたものになります。

    最後に、ネットワーク工程表のメリットを再度ご紹介します。

    ネットワーク工程表を書くメリット5つ
    • 工事の全体をわかりやすく見れる
    • 各工事の関係性が把握しやすくなる
    • 各工事と全体の工期が予測しやすくなる
    • 工事の進み具合をしっかりと見れる
    • コスト削減や工期の短縮アイデアを出しやすい

    ネットワーク工程表は大規模工事を手戻りなく管理したり、進捗を確認するのにもってこいです。

    施工管理技士試験に頻出のため、施工管理なら必ず覚えておきたいものになります。

    しっかりと勉強して、日々の仕事に役立てましょう。

    memo

    ネットワーク工程表は施工管理技士の試験に頻出の問題です。私は1級土木施工管理技士に独学で合格しました。独学方法を知りたい方は、合わせて以下の記事もご覧ください。
    関連:1級土木施工管理技士に1発合格した独学方法!実地試験も楽勝