今回は、線路のレールとレールをくっつけている”溶接”についてお話ししようと思います。
超マニアックですが、現役鉄道マンの友だちに聞いて盛り上がった話です。
興味のある方は最後までついてきてくださいね。
レールとレールのつなぎ目溶接の種類
レールとレールを溶接してくっつける意味
マニアックすぎてわけわかんなくなったら嫌なので、わかりやすい図をつけて説明していきますね。
入社希望などで、鉄道工事の仕事はどんなものか知りたくありませんか。夜勤が多くてきついという噂もありますが、それは本当です。ただし、社会貢献の意味合いも強く、給料が高くて将来性のある仕事でもあります。本当に好きでやりがいを求めるのなら、おすすめしますよ。
線路のレールを溶接する方法の種類
それでは、線路のレールを溶接する方法の種類をお教えします。
電車を走らせるための凄い技術なんですよー。
フラッシュ溶接
レールも、電気や火で温度が高くなると、粘土のようにやわらかくなって、押し付けあうとくっつきます。
こちらのフラッシュ溶接も同じようなことで、いわゆる母材同士をくっつける「融接」になります。
フラッシュ溶接は、大きな機械の中に2本のレールを入れて押し付けながら、強い電気を流すことでくっつけます。
電気で温度が上昇してたくさんの火花(フラッシュ)がでるので、フラッシュ溶接といいます。
このやり方は、たくさんのレールを一気にすばやく溶接することができるんです。
フラッシュバット溶接は大きい機械が必要なので、工場でくっつけて現場に送ります。
ガス圧接
ガス圧接は電気ではなく、ガスの火でレールを溶かしてくっつけるやり方です。
こちらも母材同士をくっつける方法です。
現場で溶接できますが、大きな機械が必要なので、企保天気に線路の外側で溶接します。
ちなみにフラッシュ溶接とガス溶接は、隙間を完全に埋める形で融接されるので、他の2種類の溶接方法に比べて強度が高いです。
テルミット溶接
テルミット溶接は2本のレールを囲って、その中にさらさらの粉(金属酸化物とアルミニウムを混ぜた粉末)を入れて火を付けると、どろどろに溶けてレールをくっつけます。
この反応をテルミット反応と呼ぶので、テルミット溶接と呼ばれます。
溶剤は2,000℃を超えるくらい熱くなり、まぶしすぎて直視できないくらい赤く光ります。
母材同士をくっつけるフラッシュ溶接・ガス圧接と違って、他の材料を溶かしてくっつける方法なので、どうしても強度は弱くなります。
ただ持っていく道具が比較的軽くて、モールドに溶剤を流し込むだけなので少ない時間で作業が出来るのが特徴です。
線路の上で溶接するのに適していて、レール交換の最終仕上げによく使われます。
エンクローズアーク溶接
エンクローズアーク溶接は、2本のレールをあてがねで囲って、その中で電気を流し、材料を溶かしてレールとくっつけます。
溶接棒を溶かしていくやり方(アーク溶接)で、レール以外にも多くの場所で使われている技術です。
また、レールの形をした囲いの中で作業をするので、「エンクローズ」と呼ばれるのです。
だんだんと層になるようにすき間を埋めていくので、溶接部はしましまになっています。
こちらも母材とは別の材料を使ってくっつける方法です。
線路のレールとレールを溶接してくっつける意味2つ
レールとレールを溶接してつなぎ目(継目)をなくす意味は、以下の2つです。
- 乗り心地を良くするため
- 弱点をなくし軌道を破壊しにくくするため
1つめの理由は、継目がなくなることから電車のすき間がなくなるんですね。
良く電車に乗って「ガタン、ゴトン」と音がしますが、溶接するとそれがなくなります。
「スーッ」と音も振動もなく快適な乗り心地が提供できるんです。
2つ目の理由は、継目が軌道の弱点であることからそう言われます。
すき間があると電車の重みが大きな負荷になり、軌道に大きなダメージになってしまうからです。
もし折れでもしたら安全でなくなり、大変なことになってしまいます。(実際は信号が赤になるので電車は止まるのですが。)
ということで、以上2点の理由から溶接してレールをくっつけることはとても大事なのです。
ちなみに、200m以上のレールはロングレールと呼ばれ、大手私鉄の都市間など基幹路線についてはほぼロングレールが使われています。
線路のレールは熟練の技で溶接されているんです
線路のレールはすべて熟練の技で溶接されています。
溶接をミスって1ミリでも段違いがあったら、とても折れやすくなって危ないです。
そこを常に気を付けながら施工しているので、かなりの練習が必要な技です。
しかも25mに1つ溶接していると考えたら、何百キロとある線路をつなげているのは果てしないことです。
本当に、職人さんたちはすごいと思います。
普段何気なく乗っている電車の、しかも全く気にすることのないレールの部分で、こんなにもかっこいい技術が使われていると思ったらちょっと興味がわいてきませんか。
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